ZWO 社から発売されたSeestar S50 の使用レポート

スマート望遠鏡(Seegstar S50)が我が家にやってきた ヤァーヤァーヤァー

都都逸

メインメニュー 本体とキャリングバッグ

【機材のスペック等】
 ・ 重    さ:本体2.5Kg (付属のカーボン三脚を含めても3Kg と軽い)
 ・ 光 学 系 :口径50mmのアポクロマート・焦点距離246mm、F4.9
 ・ 動 作 系 : 自動導入自動追尾、オートフォーカス、動画、タイムラプス。 オートスタック。
【フィルター等】
 ①内臓フィルター:ダーク画像撮影用遮光フィルター、UV/IR カットフィルター、
 ②外部フィルター:太陽光カットフィルター。
 ③結露対策ヒーター
【価格】三脚、キャリングバッグ付きで税込82,300 円。
 ※納入期間:発注後中国からの輸入・協栄産業での検品後、1 か月強。
【操 作 性】
 操作は全てスマホもしくはタブレットからの操作となるが、家電並みの衝撃的な簡単さである。
 ①電源オン ②スマホと同期 ③目標の天体を指示(対象名選択、星図選択)④あとは、極軸調整、アライメント不要で目標物を導入 ⑤導入後、撮影ボタン ⑥最初の1 分間は自動でダークフレーム撮影(最初の撮影のみ) ⑦この後は10 秒毎にスタックしていくと画像が手元で進化していく ⑧画像はスマホに自動転送 ・・・これだけです。
【正 確 性】
 導入は1 発で中心部に。撮影中雲に覆われたり、画像が大きく流れた場合等、自動検知しその画像は自動的に削除される。
【機材の制約】
 ・センサーが小さく画角が狭いため、M31 のような大きな天体は収まらない。
 ・月、太陽がちょうど収まる画角。日食の撮影の場合コロナの端は収まらない。
 ・倍率は65 倍程度なので、土星や木星撮影は不向き。しかも飽和し木星の模様や土星の環は分からない。
 ・天頂の撮影ができない。(高度85 度が限界)
 ・操作系は日本語対応されているが、星図やコンテンツは英語表示のみ。
【その他】

 この機材ユーザー向けのコミュニテイーサイトがアプリ内にあり、画像をアップすると、世界地図の光害マップに表示される。(別添図ご参照)
 光害地と光害の少ない地域での画像比較ができるのも面白い。
 この地図上に投稿ショット数が掲載されていたので、この地図を基に国別ランキングを積算してみた。
【国別Seestar 利用ランキング】(単位:撮影ショット数)
 1 位:中国3,930(当然か)、2 位:アメリカ826、3 位:イギリス744、4 位:日本554、5 位:フランス451
【総  評】
 先ずは、携帯性、操作の容易性、コスパの高さが衝撃的だった。(もちろん趣味に8 万円強を投じるのはそれなりの覚悟はいるが)これまでセッティング為の時間や重量から、ついつい天体観望から遠のいていたが、この機材の「手軽さ」に惹かれた。もちろん各種制約や撮影した画像の出来には限界があることは前提としてだが。

さて、次にこの機材がどの程度市民権を得るかだが、賛否両論はあると思う。かつて自動車は全てマニュアル車だったが、現在は完全にオートマが主流で、マニュアル車は一部のマニアだけのものとなっている。Seestar は正にオートマのような機材でもある。しかし、この機材は決して主流には成らないと思う。なぜなら今の天文ユーザーのほとんどが既にディープマニアで、手数をかけることを楽しみ、オリジナリティを好むからだ。また、全くの初心者は星雲・星団などのディープスカイを楽しむためにこの金額を払うか?疑問だと思う。
しかし、この機材を含めたスマート望遠鏡の最大のメリットはソフト制御なので発展性が期待できる点だ。この1 年間でも、①太陽の自動導入、②タイムラプス撮影、③言語が英語、中国語に加えて日本語、フランス語対も対応④その他操作系のレベルアップも可能となった。日本語、フランス語を加えたのは前述のユーザー数を基にした部分もあるだろう。
また、今後の活用方法という意味では、例えば変光星の測光観測に使っているとのブログもあるなど新しい活用方法が生まれてくるかもしれない。そうした意味でスマート望遠鏡はゲームチェンジャーになり得る可能性を秘めた機材だと思う。    最後に、国産メーカーも頑張れ!

【写真左】撮影画像 (・月・オリオン座星雲・太陽・亜鈴状星雲)
【写真右】公害レベル地図とプロットされた撮影画像(拡大・縮小で世界地図レベルで見られる)


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